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講演録(勉強会)

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ネットコミュニティは金になるのか?儲かるのか?

この講演録は、2004年5月21日 第10回東京支部勉強会の内容を編集記録したものです。

東京支部第10回勉強会開催 講師 ふぁーすと・らぼ 村上 肇 社長 

「ネットコミュニティビジネスは金になるのか?儲かるのか?」

 

ふぁーすと・らぼ

村上 肇 社長

   
■ 自己紹介
■ マグネットワールド
■ マグネットワールドのコニュニティ機能と分析
■ マグネットワールド から NC WEBマスターズコニュニティ へ
■ NC WEBマスターズコニュニティ から e製造業の会 へ
■ 3つのコミュニティを運営してきて感じるポイント
■ コニュニティでお金を生み出すために
■ 質疑応答
 

 皆さん、こんにちは。滋賀県の田舎から久しぶりに東京に出てきまして、ちょっと緊張気味です。普段は中小製造業の方向きのセミナーとか、町工場の親父を相手に話していますので、話の内容が非常にベタになると思うのですが、よろしくお願いいたします。

 今日はネットコミュニティが基本的にお金になるのかをテーマに、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。マグネットワールドという事例と、製造業の方のコミュニティも、小さいですけれど一応、お金にはなっています。ビッグビジネスは全然わからないのですが、少々儲ける程度にはコミュニティをうまく活用できた事例を2つほどご紹介します。それが皆さんの頭の中で、こうすれば大きなビジネスになるのではないかというヒントになれば、ありがたいと思います。

 
 それでは、簡単に自己紹介を。きょうはe製造業の会の主催という形で書いています。これは町工場の人たちをネット上に集めて、情報交換、勉強会を月に1回やっているものです。小さな町工場でもけっこういろいろなモノをつくりだすことができますが、何をつくればいいかわかりません。今までは系列の中に入っていて、下請けで図面どおりに仕上げればよかったのです。それが待っていてもなかなか仕事が増えない時代に入り、どうしようという危機感を皆さんがちょっと持ち始めました。
その人たちがネットで情報を発信して、人とコミュニケーションをすればお客様が見えて、ひいてはニッチなマーケットも見えてきます。そこへビジネスを展開すれば、自分の生産能力、モノをつくりだす力が生かせますよということをお話しして、細部は各業種で考えていきましょうという会をやらせていただいています。

 「ふぁーすとらぼ」は基本的にはコンサルティング、他にはセミナーの講師をさせていただいている、お金儲けの会社です。ホームページの制作などもやっております。


 
 最初に、昔やっていた事例からお話をさせていただきたいと思います。マグネットワールドは97年9月1日に開始しました。やろうとしたきっかけは、もともとサラリーマンで勤めていた町工場の株式会社二六製作所が、1985年ぐらいから業績がずっと右肩下がりになりまして、95年ぐらいには従業員8人、年商1億円に縮小していたわけです。やはり80年代をピークに「失われた10年」に縮小している工場は多く、その縮小の波に乗った会社でした。その中で、僕も結婚するし、子どももできたし、ちょっと何とかせなあかんな、と。二六製作所は全部が磁石事業ではありませんが、磁石を加工して販売することもやっていました。その磁石の不良在庫が会社の中にたくさんありまして、「これ、ネットで売れたら儲かるやん」と、全然売れないで眠っているものを売りましょうと会社に提案して開始したのが始まりです。

 96年当時はちょうどWindows 95が出てきて、インターネットが一般の人でも使えるようになり、いろいろなところでネットの成功事例が、例えばアマゾンの話などが聞こえてきて、初期投資も少なくできることを聞きまして、これで磁石の在庫を売ろうと。単に会社のホームページを立ち上げるというスタンスではなかったです。僕の場合は無謀というか、当時まだ工場でそんなことをやっているところがなかったと思うのですが、最初から売ろうと思って立ち上げたところが、ほかとは違うと思います。初期投資は70万円です。パソコンもない会社だったので、パソコンやプリンターが50万円ぐらいしました。うまいこと社長をだましまして、「今どき、パソコンもないような会社は、あかんで」ということでパソコンを買っていただいて。あと20万円でホームページを業者につくっていただいた。それで70万円で始めた事業でした。

 年商1億の会社ですから、それが5年後に1.6億、一応上積みされたら、まあ、成功と言ってもいいかなと。成功の秘訣の1つは最初から売ろうと思っていた点、もう1つは、これがコミュニティにつながっていくのですが、1997年に始めたときに、ネットのビジネスというか、ネットのコミュニケーションがおもしろくてたまらなかったのですね。

 もともと町工場みたいなところに勤めていますと、大企業の方とは違って、株式会社二六製作所という名刺を持って得意先に行って「村上といいます。よろしくお願いします」と言うと、まず何から始まるかというと、「二六って、どういう意味」とか聞かれる訳です。いや、紀元2600年創業の会社でということを言わないといけない。要は、馬の骨なわけですよ。全然知ってもらっていないところから、すべてを始めないといけない。

 ところが、インターネットで「こんな加工をやりますよ、1個からでも受注を受けてやりますよ」ということを書いたホームページを出すと、向こうから問い合わせがくるわけです。名刺を出さなくても、問い合わせがくる。こんなこと、今まであり得なかったわけです。それが日にぽつぽつと、入ってくるわけですね。その中に、いろいろな問い合わせがあって、こういうことをできないかとか、「1個から加工が本当にできるのだったら、うちは試作で今、困っているから、やってくれへんか」という話がきて、実際にビジネスにちょっとずつなっていきます。

 もちろんすぐビジネスになるネタだけではありません。例えば北と南を指す方位磁石がありますね。あれを持って北極点に行ったら、どこを指すの、とかそういう問い合わせもくるわけです。教えて君みたいな人が来るのです。でも、むげにもできないので調べて、「北極点よりもう少しカナダ寄りが地軸の真北なので、北極点に行ったら、そっちのほうを指します」と答えると、当然、そういう人ですから、「じゃあ、そこへ行ったらどこ指すの」と言うに決まっています。それに対して、今度は磁石の専門家に聞いて、「そこへいったら、どこが点かわからないから、針がくるくる回るのだ」ということが正解らしいので、そのようにお答えしました。

 ほかにも子どもから「磁石って鉄にくっつくけど、木にくっつかないのはなぜ」とか、来るわけです。これは答えられないですね。大学の先生でも、いまのところしっかりと答えられないのですが、だんだんに慣れてきますから、「これは解明されていないことなので、君が大きくなったら、大学に入って研究して、僕に教えてください」とか言って、うまいことごまかす能力も身につけていきました。要はコミュニケーションを楽しんでいたわけです。これが私としては本当におもしろくて、これだけをビジネスにしたいと思いました。最初は兼業でやっていまして、もともと工場でごりごりと磁石を削ったり、プレスで金属を加工して、油まみれになっていたわけですが、その仕事はあまり好きではなかったので、ネットでこれがお金になっていったら楽しいだろうと。97年の9月か、10月ぐらいから、これをビジネスにしたいと思ったのです。

 そこで無い頭を絞りまして、儲かっている会社なら、あんた担当やということで最初からやらせてもらえるでしょうけれど、本業が悪くなって始めた事業ですから、自分が専業でやるには月商200万ぐらいはいるなと。200万稼げば、会社にも利益が出るし、自分の給料ももらえるなということで、200万円という目標設定を立てて、いろいろやって。そうしたら、おかげさまで98年の夏ぐらいに月商200万円になって、それで専業になれて。それから、どんどん右肩上がりでいったというのが実際です。

 

 この売上にどのぐらいコミュニティが役立っていたかを正確に分析していませんが、仕事が楽しくなったことは、たしかに言えるのです。Googleで「磁石」と入れますと、1番にマグネットワールドがくるのですね。日立金属が下にあったりすると、非常にうれしいです。最近は3億ぐらい売っているのかもしれないのですが、マグネットワールドの売上は日立にしてみれば棚卸の誤差みたいなものですからね。そういった企業よりも上に来ているというのは、なかなか快感なわけです。

 最初は電子メールで、個々のコミュニケーションを楽しみながらというか、ニーズをつかみながら、受注生産、加工、販売をやりながら、教えて君ともコミュニケーションを取っていました。これは後づけですが、今、思うと、すべての問い合わせを無視しなかったのですね。全部、きちんと答えた。もちろん定型文で答えることもありましたけれど、基本的には全部、答えていった。それはなぜかというと、どの問い合わせにもニーズがあるからです。方位磁石の人も、興味があってわざわざキーボードを打ってきてくれているので、ニーズがあることを感じていたのだと思うのです。

 こういう加工ができて、こういう器具がつくれましたと事例集のようなことをホームページで公開しますが、そうすると子どもからのメールもたくさん来るのです。ということは、磁石は単なる商材ではなく、磁石自身がおもしろいのだな、そういえば私も小さいとき好きだったなと。皆さんも小さい頃を思い出されると、磁石が反発して飛んでいったり、くっつくというのが何か不思議で興味深いものだったのではないでしょうか。売るのは売らないといけないのですけれど、そういう色々な問い合わせが来るのなら、もう面倒臭いから、勝手にお客さん同士で盛り上がってくれたらいいなと思って生まれたのが、この掲示板です。

 磁石掲示板をまず1個つくりまして、今も活発に動いています。僕が電子メールでやっていたようなことをやりたい人がここでどんどん投稿をして、お互いにコミュニケーションを取りだした。これがコミュニティと言われるようになって、テレビに取材を受けたときには、ナレッジマネージメントですねと、わけのわからないことを言われたのですが(笑)。何がナレッジなんですかね、ということでしたが。要はコミュニケーションが楽しくて、それならみんなに見せたらいいじゃないかということで、これが非常に盛り上がっていった。

 そうすると、その中でいろいろな話題が出てきました。オートバックスとかに行ったら、ちょっと眉唾な、磁石で燃費がよくなる製品が売られているのを知っていますか。ガソリンタンクから出ている燃料ホースに磁石をつけると、燃費がよくなるとか、まことしやかに言って売っているのです。二六製作所はまじめな磁石屋ですから、そういう効能をうたって売ることはやらないのですが、新たにコミュニティをつくって、ここで意見を戦わせてくださいと。それで、「試すのだったら、うちの磁石使ってね」みたいな形でやっていると、けっこうここで効果が出たとか、出ないとか、ここで話題になったサイズの磁石、この大きさで、僕はこうやって付けたよとか、議論をやるわけです。それがやっぱり売れるのですね。

 掲示板で見て、僕も試してみようということでウェブショップのほうにいくと、ウェブショップでも左の目立つところに置いてあって、すぐに買えるように、せこく誘導しています。ここへ行って、そのサイズの磁石を探して買っていただいたり。それがコミュニティとビジネスとの結びつきですが、売らんがためにやったというよりは、みんなでディスカッションしてくださいよという場を提供した形がよかった。掲示板ではお客様対応は一切、しないのです。これがいいよとか、そういうことは、一切しないです。よそにはお客様対応用の掲示板ってありますね。楽天の店長の掲示板とかで「迅速な対応をありがとうございました」と言ったら、店長が「これからもがんばります」とやっていますね。ああいうのとは全然違うのです。ただ単に磁石のネタを振って、そこで盛り上がってもらう。特にお買い物を勧めたりはしないのです。それがよかったのかなと思います。そこであまりビジネス色を出さずに盛り上がってくれる。

 これがまた結果の出ない話なら、いつまでも議論が続くわけですね。よかったり、よくなかったり、磁石で鳥を追い払う話とか、水がおいしくなる磁化水とか、ああいったものはかなり怪しいですから。そういう商材とコミュニティの相性がよかったというところも、あったのかもしれません。

 そんなことで、コミュニティ機能は掲示板がメインで、あとはメールマガジンも出していましたし、私がいるときは試しにメーリングリストをやったりもしました。

 売る側がやるコミュニティの分析としては、ニッチな分野に絞ったのがよかったということ。それから、私自身がそれを楽しんでいたこと。最後に、コミュニティでは基本的に顧客対応や売り込みをしなかったこと。これがマグネットワールド、磁石屋が運営するコミュニティとしてはよかったのではないかと、結論づけてみました。以上が昔、マグネットワールドでやったコミュニティとビジネスとのつながりです。


 
 

 私はもう1つ、人と人のコミュニティをやりました。マグネットワールドも人と人とのコミュニティですが、物を介するのではない、情報交換の場です。東京にNCネットワークという町工場のコミュニティサイトがありますが、その中で、これから町工場もウェブマスターが大事な時代になるからということで、NCウェブマスターズコミュニティという無料のメーリングリストを僕が主催になって立ち上げて、NCネットワークのウェブマスターで興味のある人に入っていただき、その運営をやりました。これは2000年か1999年から2年間やりました。

 それで町工場の親父とかといろいろ情報交換をすると、これもまたターゲットを絞っていますので、中小製造業がネットを使って元気にビジネスをやっていくにはどうしたらいいかというノウハウを共有化していこうと。マグネットワールドはそこそこうまくいったので2000年ぐらいから講演をさせていただいて、マグネットワールドの事例はこうで、ネットを活用して、お客さんのニーズをつかむことによってマーケットも見えてきますよ、そうすれば自分の工場の技術が生かせるのですよ、という話をしました。しかし、それは磁石屋だからで、磁石という売るものがあったからだ、うちはただ単に鉄板に穴を開けるだけの仕事だから、そういうことはできないだろうと壁をつくられたのです。

 マグネットワールドも売るだけではなく、加工賃をもらってやる受注生産の仕事もたくさんやっていましたので、そうではないよという事を伝えたくて、このコミュニティをやり始めました。無料で、参加者は最終的に120名か、140名ぐらいまでになりまして、いろいろな情報を共有したり、飲み会をやったりしていました。その中から、ぽつぽつと実際に売れる企業が出てきました。

 関西のほうで大阪製作所という小さな、といっても二六よりちょっと大きい20人ぐらいの会社があります。ここは今言った、非常に細かい穴を開けるのが得意な会社です。半導体の部品の製造装置などの細かい500μmのバリ取りとか、0.1mmの穴を開けますよという仕事で、関係のない人には全然関係ないのです。皆さん、そんな穴を開けてどうするの、みたいな感じだと思います。

しかし、これをストレートに情報発信していったら、北海道大学からナノテクノロジーの研究をやっているのだけれども、ノズルに穴が開けられないかと。要はナノテクノロジーの研究で正確に液体をぽとぽとと落とさないといけないのだけれど、ノズルに正確に細い穴を開けるところがないから、やってくれないかということで、問い合わせがきて、実際に仕事になったりという事が起きています。八尾の町工場へ北海道大学から問い合わせがくるなんていうことは、今までもちろんあり得なかったことです。そういうことが実際に起きて、売上も今、一番多い月ではネットの新規のお客さんから月商600万円になっています。ここは受注を受けて、加工をしてなんぼの賃加工屋さんです。それでも仕事が取れるのです。


 
 
 

 次にマグネットワールドと似た事例で、工業用ブラシという分野があります。あまりなじみがないと思いますが、これは機械に取り付けて、ごみを取ったり、バリを取ったりするブラシをオーダーメードでつくる会社で、ここも1個からと。ここもたくさん注文がきて、関西IT100選の優秀賞もとっています。こういう人たちがコミュニティのなかから生まれてきたのです。いろいろな事例がここに出ていますが、それによって、私がこうして話していても説得力を持ってきたわけです。製造業にはネットが合っているのだな、ということがわかりました。

 ウェブマスターコミュニティを2年間やったのですが、2002年5月になぜやめたかといいますと、私が2001年12月に会社を辞めて独立してしまいましたので、無料でやるのがしんどくなってきたのですね。背に腹は変えられないから有料化にしようと思って、無料のメーリングリストを閉じたという経緯があります。こういうコミュニティの問題点は、運営者の持ち出しでやっていたので、資金不足によるサービスの低下というか、だんだんモチベーションが下がっていくという点があります。がんばってはいたのですけどね。それに、無料で誰でも参加できるという形にしていましたので、町工場の人だけが集まってくるのではなく、ネットおたくのような人たちが入ってくると、話が非常に厄介で運営もしんどいこともあって、無料であまりオープンなのもつらいかなということでやめました。無料でオープンなコミュニティでがんばっていらっしゃるインターネット・サーベイ・メーリングリストの萩原さんなどはすごいなと思うのですが、私はやめたのです。

 コミュニティをお金にした事例の2番目は、ウェブマスターズコミュニティという無料でやっていたものを、単に有料化しただけです。年会費をとって始めました。新たに募集をして、現在、法人が27社、個人が17名と3分の1ぐらいに減りましたが、その人たちが有料になっても入ってくださって、再び盛んに情報交換を行っています。単にオフの飲み会をするのではなく、毎月ゲスト講師を呼んで勉強会をやった後に飲み会をやるなど、より密度の濃い会になりました。この6月で1年になるのですが、会員さんも増えてきています。


 

 私がやったコミュニティをお金にする事例はこの2つです。

 コミュニティを運営する上で重要な点の一番目はテーマを絞り込んだこと。中小製造業の会は町工場というところに絞り込んだし、マグネットワールドの場合は磁石、もっとも磁石でも広すぎたので、その中で磁化水や燃費など話題性が出てきたものに更に絞り込んでいったことが成功した要因です。成功と言っていいかどうか、少なくともお金にはなったということですね。

 あとは主催者の理念とモチベーションが非常に大事ではないかと。マグネットワールドにあまり理念はなかったのですが、中小製造業の会の場合は、マグネットワールドでうまくいった下請けの方法から、ネットを使えばいろいろな企業が脱皮できて、新しい夢のある世界が待っていますという事を伝えたい、という理念があります。そういうものが根底にあるのがいいのかなと。ある程度、お金をいただくことによって、今はモチベーションも保てていますので、このあたりがポイントかと思います。

 それから、公平性です。マグネットワールドのときも特に売り込んだり、お客さんのひいきをしたりということは一切なく、公平にやっていきました。この3つがコミュニティを運営してきて、大事なポイントではないかと思っています。

 物販サイトでのコミュニティ活用の場合、3つの要素で重要な順に並べると、まずは公平性です。お客さんに本当に純粋にコミュニティで楽しんでもらうために、売り込みや顧客対応はやらない点です。2番目が絞り込み、3番目が理念やモチベーションです。

 逆に会員制にして、お金を集めてやるネット上のコミュニティの場合は、主催者の理念、モチベーションが一番大事ではないか。それから、絞り込み。あまり広くやってしまうと、わけがわからなくなりますから。3番目が公平性。私がやってきた2つのコミュニティでは、それぞれ重要度合いが違ったかなと感じています。

 本当に小さなお金しか生み出していませんが、ネットのコミュニティを活用してお金を生み出すことはできなくはないし、実際にちょっとはできたわけです。皆様がどういう次元のところを考えておられるかはわかりませんが、ちょっとでもヒントになればと思います。インターネットのコミュニティがビジネスに結び付いて、大きなビジネスが生まれてくることは私も期待するところですので、このあとは皆さんのご質問、ご意見をいただきながら、そのあたりに少しでも迫れたらなと思います。ということで、一応、私のお話はこれで終わります。どうもありがとうございました。



○司会.どうもありがとうございました。それでは、ぜひ質問をいただきたいと思います。 
■質疑応答
Q.

 中小企業の方がインターネットに入ったときに、下請けから外に出るという感じにマインドが切り替わるかなと思うのです。切り替わる方と切り替わらない方の差というものがありましたら。

A.  危機感ですね。危機感をお持ちかお持ちでないか。例えば中小企業でネット活用というのは新しい世界じゃないですか。未知の世界にチャレンジをしていこうと思われる方は、危機感の強い方だと思います。
   
Q.  現時点である程度、会社が回っていて、将来に対する危機感を持っているか持っていないかという差でしょうか。それとも、もう今がカツカツということでしょうか。
A.  両方あると思います。私の会員制のコミュニティに入ってこられる方や講演にいらっしゃる中で反応のいい方は二代目さんです。製造業の方は今ちょうど世代交代の時期でして、先代が60〜70歳で、二代目が30〜40歳ぐらいの人でこれからやっていこうという人、今はとりあえず回っているけれども将来の危機感がある方もやる気になっています。今がカツカツという方もいらっしゃいますが、今カツカツの方はお金を使わないので、なかなか立ち上がってこない部分もあります。
   
Q.  コミュニティで公平性という言葉が出てきますが、お客さんが何を公平と感じるかによって、公平性は変わってくると思います。一見さんとずっと前からいた人を同じように扱う公平性と、やはり有料顧客にはそれだけのインセンティブを与えるほうが公平なのかもというところがあり、公平性についての考えをお持ちであれば教えてください。
A.  マグネットワールドの事例でいえば、お客様の中で買っていただいた方がわかっていても、そこでお礼などは一切しないという程度の公平性ですね。情報を求めて来られている方に対して、こちらから提供できる情報があれば出していく。これがわからないと言われたら出していくということを、どなたに対しても同じようにやったということです。
そういう意味では、顧客選別をしなかったですね。
   
Q.  それは会員制コミュニティであっても同じことが言えるでしょうか。
A.  そうですね。特に会員制コミュニティの場合も顧客選別はないですね。それが、ビジネスが大きくならない要因の1つしかもしれないのですが、それはわからないです。
   
Q.  二六製作所はお客さん同士で勝手に盛り上がってくださいという場を提供するにとどまって、コミュニケーションには基本的に参加していないようですが、お客さんがウェブショップで買っていただけたのは何故でしょうか。例えば、ほかの磁石メーカーさんが同じようにコミュニティをつくって、どこかの会社に運営を委託して、そこに販売サイトへのリンクを張ったという場合でも、同じように買っていただけたのだろうかと。コミュニティではお客さん同士で話し合っているのですが、そこに来ている人たちが二六製作所というものをどれだけ意識していたのかなということが気になっています。「場を用意してくれてありがたいな」と思っているのか、それとも「コミュニティから1クリックのところにたまたまウェブショップがあるから、そこで買えばいいじゃん」ということで購買に結びついたのか、どうなのだろうということですが。
A.  場を提供してくれてありがたいというのもあるでしょうし、掲示板ですからもちろんある程度の交通整理はします。荒れないようにとか、そういったことで手間もかかっていますので、きちんと答えてもくれているし、放ったらかしではないし、同じ買うのだったら、値段が変わらないなら、ここで買っておこうかみたいなところは生まれてきていたかもしれません。
 もう1つは、コミュニティにはあまりお金にならないコンテンツがたくさんあるのです。子ども向きの部屋、キッズルームがあります。これは子どもからの問い合わせが多かったし、会社に近所の小学生が工場見学に来たときに、磁石を見せると非常に目を輝かせて喜んだので、子ども向きの情報リンク集、こういうところへ行くとおもしろいよというのを作りました。こういったものがコンテンツとしてサイトの中に同時に存在するので、サイト全体の雰囲気がよくなっているのではないでしょうか。キッズルームはキラーコンテンツになっている気がします。ここが非常に柔らかい雰囲気を出してくれているので、コミュニティで議論をしている人もあまりきつい書き込みはしないですね。
   
Q.  うちもコミュニティサイトをやっていて、これはB2Bのコミュニティで物販まで持っていくという、僕の目指している理想の形だなと思いました。コミュニティを維持していくのは非常に難しいと思うのですが、先ほどの会員制のコミュニティは会費をとっているわけですか。
A. 年会費は法人が3万円、個人が1万5,000円です。
   
Q.  入れ替わりはどうですか。
A.  まだ1年目なので、年会費なので、誰もやめていません。1年分もらっていますからね。ちょうど今から請求書を送らないといけないので、これが非常に怖いなというところですが。
   
Q.  メールは1日何通ぐらいでしょうか。
A.  メーリングリストは、そんなに多くないです。話題が出たときにはばっとなりますけれど、1週間ぐらい、しんとしているときもありますし。

 マグネットワールドは個人同士の情報交換で、個人の方がここで買われる量も何個という程度で、直接にはB2Cの売上にしか貢献はしていないのです。ただ、これを運営していることによって、B2Bにもいい影響を及ぼしている気がします。

 B2Bですと、マグネット業界はわりと大きな市場です。モーターには大量に使われますし、スピーカーにもいるし、皆さんお持ちの携帯電話のバイブレーターは全部、磁石でしているわけです。
 けれども、マグネットを使っている大手企業と、マグネット業界の大手メーカー同士はつながっているわけで、我々のような小さい会社が参入できる市場ではありません。

 マグネットワールドの場合は、B2Bといっても相手は磁石を初めて使うような会社です。今まで磁石を使ったことがないけれども、うちの工場で新しい機具をつくるときに、ここに磁石を使えば効率がいいなと。いちいち接着剤でやったら大変だけれど、磁石でやればいい、金型などに一部磁石を使うとうまくいくと考えた人が出てくれば、その人が問い合わせをくださるわけです。「こういうところで磁石を使ってみたいのだけれど、どんな磁石がいいの」から始まって、そこそこの仕事がくるわけです。それが、コミュニティをやることによって、「ここだったら問い合わせをしても答えてくれるだろう、優しいだろう。うちは磁石のことは素人なので、問い合わせて冷たくされたら嫌だな」とか、B2Bでも人対人ですから、そういう意味で温かみがある「マグネットワールドにとりあえず問い合わせてみようか」というところが生まれていると思っています。
   
Q.  マグネットワールドで販売されていたのは、主に消費者が中心ですか。
A.  いや、メーカー直ですね。正確に言うと、エンドユーザー直です。Cもエンドユーザーだし、B2Bといってもエンドユーザーがほとんどです。
   
Q.  エンドユーザーの会社の方が、例えば私は何々会社の何々ですと、そういう掲示板もありますか。または、掲示板の中でこれはB2B向けとか、B2C向けとか、そういう分類はされていますか。
A.  マグネットワールドでは、B2B向け掲示板はないですね。分類も基本的にないです。磁石の掲示板だけをまず始めて、その中で話題が燃費とか、磁化水とか、鳥よけに固まっていったわけです。それは独立させたほうがわかりやすいから独立させただけで、全然B2B、B2Cということは考えていません。
   
Q.  そうすると、ネットの向こうにいる人が会社員として来ているのか、消費者としてこのサイトに来ているのかというのは、特に意識されていないわけですね。
A.  そうです。どういう肩書きの人かというのはわからなくて、あとから直メールで聞いたら、当時科学技術庁の研究者で、すごく磁石に詳しい人も来られていました。僕は磁石の電子工学的なところに入ったら全然わからないわけですよ。そこでまごまごして「わかりません」と言っていると、その人が代わりに答えてくれたりしたこともありました。
   
Q.  販売の比率は消費者向けの販売、企業向けの販売では何割ぐらいずつですか。
A.  売上比率は8対2です。B2Bが8割、1,000万円売れば800万円ぐらいがB2Bで、200万円ぐらいがB2Cと。
   
Q.  素人目で考えると、企業で磁石を使う人と、消費者として磁石がおもしろいから使う人では、全然ニーズが違うような感じがします。そういう人たちが同じ掲示板で話をすることは、不思議な感じがするのですが。
A.  企業の人が掲示板で話をしているかどうかわからないのですが、企業といっても初めて使うエンドユーザーなので、磁化水をどうやって使ったら効果があるかを知りたい人は磁化水掲示板で情報交換しているかもしれません。

 B2Bの場合は、「金型のどこに、どのぐらいの磁石を入れたら効率がいいですか」ということは知られたくないので掲示板には書かずに、メールで来ているという感じです。
   
Q.  B2Bで新しく契約された企業との取引は、継続的につながっていくのか、それともスポットで終わってしまうようなものですか。
A.  ほとんどスポットですね。試作で終わったり、機具は一度つくってうまくいったら、もうそれでいい場合がありますので、継続的になっていくのはごく少しです。ただ、取引先の数はすごく増えました。取引はもともと京都の分析機械屋さんの下請けみたいな形で、マグネットワールドをやるまでは、30社ぐらいしか取り引き先がなかったのです。それが、私がいるあいだに3,000社ぐらいになりました。
   
Q.  こういうことがあると、会社のビジネスプロセスというほど大げさなものではないかもしれませんが、例えば新しい商品が必要になってくるとか、新しいラインを増やさなければいけないとか、そういうことが必要になる場合もあると思うのですね。そういうことには、どのように対応されたのですか。
A.  もともとこの会社は1950年代から磁石の事業を始めていまして、そのころは最先端だったのです。東京大学の研究所の方から指導を受けて、その当時最強だった磁石を自社で鋳造するなど、わりと開発型の企業だったのです。しかし設備投資がついていかなくて、最新の磁石が全然つくれない。20年以上前の機械しかないのでその前から外注をたくさん使っていましたから、外注先との協力関係を強化しました。ちょっとした組み立てであるとか、ちょっとした加工は単品が多いので、わりとベテランの方が手でこちょこちょとやってくれたりもしました。マグネットワールドの運営体制が兼業から専業になって、もう1人増えたりしていますね。最初に増えている1人は、元勤めていた、工場長をやっていた方が、今、ぶらぶらしているからということで帰ってきて助けてくれた形です。人を増やしていくことで対応できる程度でした。リスクを伴う設備投資は、今はやっているかもしれませんが、私の範囲ではやらなかったです。
   
Q.  コミュニティに関してお聞きしたいのですが。最初、NCウェブマスターズコミュニティというところに120名ぐらいの会員さんがいて、現在、e製造業の会を今度は有償で始められたのは切り替えされたのですよね。お金を取るのはビジネスとしてやっていくには非常に大事だと思うのですが、今までただでやっていたコミュニティを主催者が有料にしますよと言ったときに、コミュニティの反応はいかがでしたか。村上さんがご苦労された点などがありましたら。
A.  コミュニティの中で有料にしますというのではなくて、ちょうど2年たったし、やめますということで1回閉鎖したのです。1年間は閉鎖して、それからまた新たに立ち上げました。もともと入っておられたメンバーの方に直接メールを送って勧誘したりはしていません。自分で発行しているメールマガジンで「新たにやりますよ」と言ったら、20人ぐらい、昔の会員の中から最初に入ってくださったので、率としてはまあまあかなと。

 お金をとってやらないとしんどいですから。自分のモチベーションが高くならないと、いい会にならないですし、いい仕事はできないということを一番学べたのがNWCというウェブマスターズコミュニティでしたので、会員が少なくてもいいと思ったのですね。コミュニティはつくるために投資がいりませんので、少なくてもいいから、お金をとってやろうということに決めて。でも、その間、たぶん1年間あるということは、どうしようかなと悩んでいたのかもしれないですね。
   
Q.  97年当時、70万円の投資でコミュニティとか、ECサイトをつくることはけっこう大変だったのかどうかということと、今、ノウハウのない人や会社がそういうものをつくろうと思ったとき、初期投資をして自前でつくったほうがいいのか、楽天か何かに出店したほうがいいのでしょうか。
A.  97年当時でもBBSはただで使えるフリーウェアがあり、それを業者に設定してもらって使っていました。今でもただのものはありますので、それを使えば掲示板をつくるのに費用がかかることはないです。ホームページも最初は20ページぐらいの簡単なものでしたし、今でもホームページをつくること自体にはそれほどお金はかからないと思います。

 どこまでのものをやるかによりますけれども、ショッピングカートもネット上にはただみたいな値段で転がっていますので、それを設置しています。97年にはまだショッピングカートはなかったので、磁石を選んで住所等を書いたらメールで届くという、問い合わせフォームを改良した程度の非常に簡単なものを使っていました。

 2番目の点については、費用をかけないようにしてやろうと思えば、今でもただみたいな値段でできるのですが、スキルがないと勉強している時間がないですね。社長が本当に好きなら別ですけれど、そうではないのにCGIを設定したりホームページ作成ソフトを勉強したりする時間はかけないほうがいいのではないかと思います。ですから、最初から業者に頼んでつくってもらう。製造業の場合、楽天には入りにくいのですが、小売であれば、楽天に入ってやるのも1つの手です。とにかく、少しコストをかけてでも早く立ち上げるべきではないか、と思います。
   
Q.  マグネットワールドでおもしろいなと思ったのは、どんどん売上と集客が増えている点です。こういうコミュティは、コミュニティのメンバーの代替や、テーマがなくなったら終息したり、逆にテーマが拡散していくともっと小さいコミュニティに移ったりするケースもあると思うのですが、お話を聞いていると、メンバーも、訪れる人も順調に増えています。そのあたりの運用と集客のコツは何でしょうか。
A.  やはり絞り込んでいったということですね。掲示板で話題が分散すると見にくくなりますね。磁化水の話題と、燃費の話題がごちゃごちゃに入っていると。そういうクレームというか、もうちょっと分けたらどうというアドバイスをもらって、分けていって、より絞り込んでいったというのが、コミュニティを長続きさせた要因ではないかと思っています。

 中には失敗した事例もあります。鳥の話でちょっと盛り上がったので、鳥用の掲示板を立ち上げた当時は、全然盛り上がらなくて、絞り込みすぎたかなと。今見ると結構盛り上がっていますが、それでも少ないですね。それでも絞り込んで、掲示板を分けていったことは正解だったと思います。

 集客については、このサイトがECグランプリをいただいたりして、マスコミにも取り上げられたので、それによって見る方も増えたでしょうし、それと基本的に97年から2001年は、ネット人口が一番爆発的に増えた時期ですので、それに伴っても増えてきています。現在も、ブロードバンド化が進むことによって、やる時間が増えましたね。ネットを見る時間が増えたので、マグネットワールドだけではなく、ネット業界というか、Eコマースというか、こういう業界は普通にやっていれば基本的には右肩上がりになっています。その時流には乗っていますね。特に広告宣伝費も全然使ってないようですし。今のところ、何もやっていないというと、何もやっていない状態だと思います。
   
Q.  今の関連ですが、村上さんがマグネットワールドを運営されていたときに、一番重要視されていた数字というか、目標はどういうことでしょうか。例えば、ページビューとかですね。最終的には売上にいくらつながるかということでしょうけれど。あるいはコメントがいくつあったかという量の問題もあるでしょうし。
A.  それはやっぱり売上です。長いこと、アクセス解析をやっていなくて、ページビューを99年か、2000年ぐらいまで、つけてなかったですね。コンピュータは非常に不得意で、いまでもブラインドタッチもできないくらいのレベルですので、とにかく売上のことだけ考えていました。

 もう1つは、掲示板での投稿数が少ないのは悲しかったですね。掲示板を分けたときに、全然盛り上がらないなというのが、その程度です。

 あとは問い合わせです。問い合わせがないということは、非常にまずいと思ったのです。お客さんにアクションを起こしてもらえないということですから。問い合わせが減ると、ちょっとまずいなということはよく考えていました。問い合わせに伴うのが売上ですね
   
Q.  だいたいいけるなと思ったのは、売上が上がってきたからですか、それとも問い合わせがたくさんきたからですか。
A.  最初は問い合わせがきた、反応してもらえたことにびっくりしました。お客さんのほうからアクションを起こして、聞いてくださる。教えてあげると、非常に喜んでくださって楽しかったのと、いけると思ったのは、1回、売れたからです。売れるまでは、いくらアマゾンが売っていようが、別世界の話で、周りにはいないわけです。製造業でそんなことをやっているところはいない。電子商店といわれる、B2Cのショップさんはありました。京都でも97年当時、月に数百万を売っていた家具屋さんがありましたので、売れないことはないと思っていたのですが、やはり商材が商材ですから、始めるときはいろいろな人に話をしたら、「あほちゃうか」とよく言われました。「磁石なんか、売れるわけないやろ」とか言われたので、余計に売ってやろうと思いました。不安はあったのですが、最初に注文がきて、和歌山の建具屋さんから建具に磁石を使いたいからと8万円ぐらいの仕事ができて、それでやっぱりいけるなと1つ自信になって、それが月に1回とか、2回の注文ですがほかの方からもきて。それが積み重なって、これで200万に早くしないと、ネット専業になれないと思ったというのが3カ月目ですね。
   
Q.  例えば、鳥よけ用の磁石とか、そういう製品もあるのですか。
A.  あります。ホームセンターとかに行かれたら、売っています。それもお客さんに教えてもらったのです。僕は工場の中にいて言われたものをつくっていただけですから。

 鳩の話も、最初は主婦の方がメールをくださって、その中にマンションのベランダに鳩が来て、糞をして困ると。それでホームセンターに行ったら、鳩よけ用の磁石が売っていたけれど、それは高いと。1つ、8,000円もした。それをいくつもつけないといけないのではできないので、お宅は磁石屋さんだから安くできるでしょうと言われて。僕は知らなかったので、近くのホームセンターに行くといくつかあったのです。買ってきて中をばらすと、入っている磁石は、材料は一緒ですから、黒いフェライト磁石の大きいものが入っていたりするだけなので。

 ちょうど入っているドーナツ型の外径8cmで穴が4cmのものが4,000個くらい、社長が何かで使おうと思って不良在庫にしたものがあったわけですね。「それだったら安く出しますよと、200円とか、300円で出せますよ」と言ったら、「じゃあ、10個ください」と言われて出したことから始まりました。効能はうたってないです。たしかにそれは効果が出たり、出なかったりします。来ない、よくなりましたというメールをくださる方もいますけれど、たぶん全然、何も言ってこない人はだめだったのかと思うのですが。でも、試されるのでしたらどうぞと。要は、サイズがこの大きさで、この値段です、これは材料ですという形で紹介をしていった。それも全部、教えてもらって紹介することができたわけです。
   
Q.  そうすると、テーマをしぼったおかげで、ちょうどテーマ別の商品があったおかげで、コミュニティの盛り上がりがどれだけ商品が売れるかということをある程度、測定できて、コミュニティが盛り上がっているから、この商品が売れる、ああ、うれしいなと、そういうことだったのですね。
A.  そうですね。もっとも鳥よけのコミュニティをつくったのはだいぶあとです。4,000個とか、売れてから。コミュニティ自体は、その当時は磁石掲示板1個しかなかったです。その磁石は2万個ぐらい売れましたね。
   
Q.  村上さんのお考えだと、インターネットのコミュニティは要するにツール、高機能のツールはあったほうが便利かもしれませんけれど、基本的にはあまり高機能のものがなくても、やる気とテクニックがあればいいということでしょうか。村上さんが使っていらっしゃるのもメールとBBSだけですね。
A.  高機能のことをやってもらっておく必要はあると思うのです。F1と一緒で、それがだんだんみんなで使えるように落としこんでいただく必要はあると思うので、必要なことだと思います。ただ、僕の次元ではまだ使いにくいというか、よくわからないところであり、それをもっとわからない人たちが町工場の親父だということですね。
   
Q.  中小企業ですから、メーカーサイドがこういうコミュニティというか、BBSをつくった際に、クレームなどの問題点が出てこないでしょうか。また、ライバル企業から変な書き込みがあったり、荒らされたりということはなかったでしょうか。
A.  ライバル企業というか、売り込みの書き込みはときどきありましたし、今でもあると思います。ときどき削除しましたとか出ていますから。嫌がらせとか、そういうことはあまりないですね。それはマグネットワールド自体が持っている雰囲気もあるでしょうし、それからネタが磁石についてですから、絞ったのがよかったのではないかと。あまりここで商売の話をしても儲からないだろうという感じもするでしょうし。だから、磁石の技術とか、磁石でどうなるという話ばかりからなっている、この流れができてしまっているので、なかなかここでそういうライバル企業がどうしようとか、そういう動きはないですね。それは最初の絞り込みがよかったのだと、僕は思います。
   
Q.  ライバル企業に見られることは、そんなに嫌じゃなかったですか。
A.  ライバル企業って、あまり意識していないですね。別にここで、こちらのノウハウを話しているわけでもないし、お客さん同士がやっておられる、盛り上がっている。では、あなたのところでものをつくったらいいじゃないですかと思っていましたし。
   
Q.  専業で4人を雇われて、1億6,000万円ということですが、もともと8人で1億円を稼がれていた会社で、専業の4人が営業マンの役割になるとして、1人あたり年間4,000万円というのを成功とみる理由は何でしょうか。
A.  最初のときは社長がときどき得意先を回って、仕事をくれませんかとやっていた程度で、営業マンはいないのです。マグネットワールは4人ですけれど、これを営業ととらえられるかどうか、わかりません。基本的に営業をしているのは、4人になった時点でもウェブマスターとしてやっている私だけでした。あとは受注処理、発送業務、事務処理をあとの3人がやっている状態です。
   
Q.  消費者からクレームはないのですか。鳥の話ではありませんけれど、買ったけれど全然効かなかったとか、そういう書き込みがあった場合にどうされていましたか。
A.  あまりなかったように思うのです。鳥害対策の磁石を紹介しているページには、「効果はさまざまな現場の違いにより、一概にうまくいくとは言えるわけではありません」と書いているので、あまりクレームはないです。材料としては適切な値段ですので、別に鳥に効かなければ、自分のキーホルダーとか、家用のキーホルダーにしてもらったらいい、というぐらいに思っていましたので。効果をうたって、これを製品化して、磁化水とかで何十万の装置にして打っていると、クレームもくるでしょうけれど。その中に入っている磁石なので、何千円というレベルですから。
   
Q.  消費者のほうもある意味ではゲームというか、楽しみながらというところがあるのですね。
A.  そうですね。
   
Q.  村上さんのお話は、基本的にコミュニティが最終的には物販に結びつくということでしたが、例えば、けっこう大きめの企業が既にお客様を抱えていらして、それを他社に逃げられない形にする。けっこう飽和している業界ですとか、そういうところにコミュニティを導入して、顧客の囲い込みを図りたいという事は、世の中の会社はけっこう考えていらっしゃると思うのです。そういう場合に、こういうところを重視すれば、うまく囲い込めるよといったところがもしありましたら、お聞かせいただけますか。
A.  難しいなあ。僕は囲い込みが嫌いなのですよね。やめたい人はやめてくれみたいな感じで。そもそも囲い込むと言いますが、魅力があったら出ていかないですしね。魅力がなければしょうがないんと違うのって、思うのですよ。だから、コミュニティを魅力あるものにする以外にないです。ここにいたいと思うようにする以外に。
   
Q.  これからどうしたいかについて、eラーニングとか、何かお勉強みたいなものを、インターネットを使ってやってみようとか、その辺は何かお考えはあるでしょうか。
A.  eラーニングは難しそうなので、僕はちょっと二の足を踏んでいます。やりたいことは、たくさんの人に伝えていくこと。特に私の場合は製造業向けですけれど、製造業の方は本当にチャンスがあって、ネットとの相性もいいし、マーケットが見えたり、いろいろなものを創造できるので、これからの日本の製造業はそうやって、格好よく言えば顧客を創造することをやって欲しいと思うのです。ですから、いろいろな事業展開をやって、ファーストラボでこういう講演、セミナーで伝える。e製造業の会みたいなことで、コミュニティで伝える。そうしてできるだけ多くの人がやって欲しいというのがあります。

 それから、ホームページ工場という、即戦力になるホームページをつくってあげようという事業を立ち上げました。下手な制作会社に製造業のホームページをつくらせると、ろくなものをつくってこないので、同じお金をかけるのだったら僕がつくるわ、ということです。要は中小製造業が何とか、ネットで新しい市場を開拓して欲しいというところと関わっています。eラーニングで多くの人に伝えることができて、可能であるならぜひ使っていきたいという思いはあります。ただ、どうやったらいいか、全然わからないので教えてください。
   
Q.  マグネットワールドでは普段、お客様同士で教えあいをしているのですが、企業が出てきて専門的なことに答えても、こういう質問は企業の人が答えてくれるのだから、俺は答えなくていいや、みたいな感じにはなっていないですね。コミュニティがコミュニティというよりお客様対応相談室みたいになってしまう場合もあるのですが、マグネットワールドの場合にはお客様同士が引き続き盛り上がっているのはなぜでしょうか。
A.  お客様のほうがレベルが高いということもあるでしょう。僕もあまり磁石のことがよくわからないので。磁石屋とはいえ加工していただけですから、電磁気工学とか詳しいことはわからないし、放ったらかしにしておくと、詳しい先生が出てきてくれたりするので、まずは放ったらかしにするのですね。こちらは答えない。あまり放ったらかしにされていると、その方は寂しいでしょうし、つらいでしょうから、ちょっと時間がたってから答えるみたいなことはやっていました。だんだんこちらも勉強していきますから、わかっていても答えないというのは、やっていました。基本的には、できるだけお客さん同士で、集っている方でやって欲しいということで。やりすぎると鳥の掲示板の最初の頃のように全然盛り上がらないこともあるのですが。その辺のバランスが難しいですね。
   
○司会 では、村上さん、きょうは本当にありがとうございました。
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